書きたいときしか書かない

文字に触れて落ち着きたくって始めました。2014.04.23

スーさんがまぶしい

 

新卒のスーさんは、28歳である。

娘ができたら嫌われないように頑張るコミカルな中年になりそうな男だ。

 

将来コミカルな中年になる予定の新入社員は、

深夜まで働く部署に配属され、夜分遅くまで働き、

目の下にくっきりと黒い溝ができてきた。

 

ある三連休の中日。

スーさんをご飯に誘った。最寄駅が一緒で、

ご飯抜いてダイエットしようと思ったけど無理そうだから

この時間でもご飯食べてなさそうな人を誘ってみ〜よおっと!

そんな気分で21時過ぎに連絡するとすぐにスーさんは現れてくれた。

 

安くておいしい居酒屋へ行く。

話題は三連休の予定は〜?から始まり仕事の話へ。

私は大して面白くない営業の話を。

スーさんは、仕事で話題の作家にあったことを嬉しそうに話した。

こんな話をしたとか、頭が良かったとか、その作家は金髪だったとか

当たり触りのない内容で。

 

ちょっと気をつかわれている気がしたけど、

「スーさんはいいなぁ!希望の部署に行って好きな作家に会えて!」

とポジティブに明るく楽しく嫉妬した。

 

すると、思いもよらない言葉がスーから飛び出してきた。

 

「あのさ、青年漫画とかどうなん?

びひきは、希望〜情熱〜努力〜とかそっちというより」

 

「え、希望に満ち溢れてないん?私。」

 

「いやあるよ、あるけどさ、とはいえアンチっぽいとこあるじゃん。」

 

と。

 

本当は、今すぐにでも異動したい。

そんな気持ちをずっと押し殺している。

声に出さないようにして、目の前のことに集中している。

行った先の部署では、とてもよくしてもらっているし、

この仕事で結果を出したいとも思っている。

これは本当だ。

それに配属先を受け入れられずにヤダヤダするような人になりたくない。

多分これ、一番の理由。

希望と真逆の部署だったけれど、勉強になるよ!

と爽やかに言っていられる人でありたい。

 

「耐え忍ぶこともまた粋。」

 

そう思って3ヶ月生きてきたけど、

その日以来、なんだか仕事が手につかない。

 

 

いや、言い訳か笑