書きたいときしか書かない

文字に触れて落ち着きたくって始めました。2014.04.23

消えた鼻水


3歳とかそれくらいのころ、
小児科の帰り道。
私は風邪をひいていて鼻水を垂らしていた。

お母さんはティッシュを持ってなかったので、私を抱えて急いで家に帰って鼻水を拭いてくれようと帰り道を急いでいた。

うちはマンションだった。
エレベーターに乗ると他にも人が乗ってきた。
私と母は1番先に降りるのでエレベーターの前の方にいた。
お母さんに抱きかかえられているせいで、私は後ろ向きになっていた。
だから後ろにいたオヤジとバッチリ目が合った。もちろん鼻水を垂らしたまま。

鼻水が口に入りそうだったのを
鼻の下を伸ばして時間を稼いでいた私を見たオヤジは、ティッシュを取り出し、黙って私の鼻水をふいた。

ウチのフロアについた
母はエレベーターを降りた。

鼻水を拭かれてビックリしたけど、
ありがたいと思って無表情でそのオヤジに手を振った。

家に帰ると母は
「えっ?!どこで鼻水おとしたの!」と言った。たぶんそう言った。

鼻水を拭いたオヤジの話をすると、母は少し怖がったけど、オヤジには私より少し年上の娘がいて、おくさんもいて、判子職人でとてもいい人だった。

後日
あのときは鼻水を拭いてくれてありがとうございました。
と母はお礼を言っていた。

いやぁ、風邪ひくと大変ですよね。

とかオヤジは言ってた。
なにかと面倒見が良く、その後も可愛がってもらった。

オヤジ、オヤジって、いってるけど、
本当の愛称は
お鼻のおじちゃん。

元気かなぁ、お鼻のおじちゃん。