書きたいときしか書かない

文字に触れて落ち着きたくって始めました。2014.04.23

22キロバイト、お土器。


非日常を体験した話。


今日、倉庫でひたすらピッキング作業をするバイトをしました。

業務内容は、ひろ〜い倉庫の中にあるダンボールの中から、紙に書かれた商品を全て探し、台車に乗せ、梱包係の人に渡す、それだけです。
でも商品は重たかったり大きかったりして大変でした。初めてでしたし、あまり要領もよくなかったので、倉庫の中をモタモタと動き回っていたら8時間で22キロも歩いてました(°_°)

要領の悪さはダンボールの開き方にもあらわれました。
ダンボールの中には同じ商品が12個くらい入っていて、なくなったら次のダンボールを開けなければなりません。
そのため、カッターを持ち歩いているのですが、ダンボールを開けるのがとろくさかったんですよね、私。
本来であれば真上から、ダンボールを閉じてるガムテープをなぞるように刃をいれて開くと思うのですが、そうじゃなくて商品を取りやすくするため、側面にカッターを刺して開かなきゃダメだったんです。

ダンボールは素早く開けないと迷惑がかかります。

私は、ちちちちちっと慣れない手つきでカッターの刃を出すのですが、ここからもう違う。ベテランの人たちは早すぎて音も聞き取れないくらいのスピードで刃を出します(危なそうだけど誰も怪我しない)。

ベテランの技は凄いのです。

私が
あーあ、またダンボール開けなきゃ。
と思って、ちちちちち・・・と刃を出し始めた時、私の刃を出す音を聞きつけたのか、どこからか濃いピンクのジャージを着たおばさんがやってきました。

「おどき!」

グイッ!

おどき!と言いながら私を押しのけダンボールの前を独占したのです。

おどき?!(°_°)
聞き間違えかと思ったけど、
確かにおどき。
初対面なのに、むしろ初めての会話なのに、おどき。

お土器じゃないよ。
おどき。

美川憲一のおだまり!
みたいなキレのある言い方。
リアルで聞いたのが初めてだったから、軽く感動したけど、カッターの刃を出すだけでトロいと判断されてしまう現場のシビアさとかトロくて不器用な自分への嫌気とかが「おどき!」という言葉によってズドンとのしかかってきてしまって泣きそうになりました。うぅ(;_;)

私をどかしたピンクジャージおばさんは
ダンボールに向かって凶器みたいにデカいカッターを振り回しているように見えました。
鮮やかというか大胆。
切り裂く音も細くて鋭い小さな音。
シャッシュルン!シャーーーッ
冗談抜きに早すぎて見えなかった。
ダンボールは本当に
シャッシュルン!シャーーーッ
で開かれました。秒でした。
しかも綺麗。
誰も怪我しないのが不思議なくらい大胆でパワフルだったのに。


ピンクジャージおばさんはこちらを一瞬見て
「いっちょあがりィ!」
と言って次の獲物を引き裂きに行きました。

(°_°)

ピンクジャージおばさんは、私のダンボールに用事があるわけでもないのに親切心(もしくはただ単にトロくて見ていられなかったのか)でダンボールを引き裂きにやってきてくださったのか(°_°)

優しいのか怖いのか分かんないけど、なんか倉庫の中にいて疲れたのかな、おばさんのことが頭に焼き付いてバイト中ずっと忘れられませんでした。

切り裂きジャックってこんな感じだったのかしら。きっとあのおばさまは生まれ変わりなのね。あぁ、感謝します切り裂きおばさま。

それにしても
おどきという言葉は命令形?なのに
どけ、と違って少し上品に聞こえるよね。